売買 第十条(保証) of 契約書式

保証


 第10条(保証)
 甲は、本件土地について、抵当権、根抵当権その他乙の完全な所有権の行使を妨げる一切の権利の存在しないことを乙に対し、保証する。
 2 万が一、本件土地の乙の所有権の行使に妨げとなる事由の生じたときは、甲の責任において解決し、乙には法律上の一切の迷惑をかけないことを約する。


 所有権行使を妨げる抵当権等の担保権や地上権等の用益権の登記がされている場合、所有権移転登記までには抹消させておく必要があります。
 勿論、地代の収受を目的とし、用益権(たとえば地上権)を引き受けることを前提とした売買であれば抹消の必要はありませんので、その旨を記載しておきます。
 抵当権等の担保権の設定がある場合、特に登記されている債務額が売買代金より多い場合は、債務の中身を確認し、売買代金(残代金)で返済可能かどうかの判断をする必要があります。抵当権設定登記毎に具体的な債権者と債務額を確認し、債務額が多い場合は手付金の支払をせずに一括決済(契約時に売買代金全額を支払うと共に土地の引渡を受け抵当権等の抹消登記と所有権移転登記を同時に行う決済方法)をしなくてはならない場合もあります。
 どちらにしても、所有権移転登記と抵当権等の所有権を阻害する登記抹消には信頼の置ける司法書士に立ち会ってもらい、細心の注意で対応する必要があります。

 民法第566条には用益権のある場合の売り主の担保責任について、また民法第567条には抵当権等の実行により所有権を失った場合の損害賠償請求について規定がありますが、登記簿謄本を確認していれば、普通の取引でこれらの条項を適用するようなことは考えられないと思います。

 第566条  (地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
 2  前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
 3  前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。

 第567条  (抵当権等がある場合における売主の担保責任)
 売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。
 2  買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。
 3  前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。